単独ローンとペアローンの違い|無理のない資金計画
2026年7月20日

家づくりの計画を進めるなかで、必ずと言っていいほど話題になるのが「住宅ローンをどう組むか」という問題ですよね。特に共働きのご夫婦からは、「ペアローンって聞くけど、うちにも合うの?」というご質問をよくいただきます。今回は、単独ローンとの違いから最新動向をまとめて整理していきます。
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単独ローンとペアローン、何が違う?
単独ローン
単独ローンは、ご夫婦のどちらか一方が契約者となり、1本の住宅ローンを組む方法です。
契約が1本のため、ペアローンと比べて融資手数料や印紙税、抵当権設定に関する費用などを抑えやすく、契約関係も比較的シンプルです。ただし、保証料の有無や登記費用は、金融機関、契約方法、物件の持分などによって異なります。
審査は契約者本人の収入のみで行われるため、借入可能額は共働き世帯の合算収入で審査されるケースに比べて少なくなる傾向があります。
なお、夫婦の収入を合わせて審査を受ける方法には、ペアローンのほかに「収入合算」もあります。収入合算における債務者、連帯保証、住宅ローン控除、団体信用生命保険の取扱いは、金融機関や商品によって異なります。
ペアローン
ペアローンは、ご夫婦それぞれが別々に住宅ローン契約を結び、お互いがもう一方の連帯保証人になる仕組みです。住宅ローンが2本立ての契約になるため諸費用も2本分かかりますが、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる可能性がある点が特徴です。ただし本人が住むこと、借入期間10年以上など、要件を満たす必要があります。
ただし、住宅ローン控除の対象額は、年末の借入残高だけで決まるわけではありません。住宅の持分、頭金や借入金の実際の負担割合、所得税・住民税の額、住宅の性能、入居時期などによって変わります。
夫婦の持分割合と実際の資金負担が大きく異なる場合には、控除対象額が制限されたり、夫婦間の贈与と判断されたりする可能性もあるため、持分を決める際には注意が必要です。
また、連帯保証人となっている場合、配偶者が返済できなくなったときには、配偶者の借入分についても返済を求められる可能性があります。保証関係は金融機関や商品によって異なるため、契約前に確認しましょう。
団体信用生命保険にも違いがあります
一般的なペアローンでは、それぞれが自分の借入分について団体信用生命保険に加入します。
そのため、一方に万一のことがあった場合、その方の借入残高は団信によって弁済されますが、もう一方の借入残高は原則として残り、返済を続ける必要があります。
ただし、金融機関によっては、夫婦のどちらかに万一のことがあった場合に、夫婦双方の借入残高が保障される「連生団信」などを取り扱っていることがあります。保障内容や加入条件、保険料、金利上乗せの有無などを比較することが大切です。
- ・契約本数:単独ローンは1本、ペアローンは夫婦それぞれが契約するため2本です。
- ・住宅ローン控除:単独ローンでは原則として債務者本人が対象です。ペアローンでは、夫婦それぞれが所定の要件を満たせば、それぞれ控除の適用を受けられる可能性があります。
- ・諸費用:ペアローンは契約が2本になるため、単独ローンよりも融資手数料や印紙税、登記関連費用などが高くなる傾向があります。ただし、実際の費用は金融機関や契約内容によって異なります。
- ・団信:一般的なペアローンでは、それぞれの借入分が保障対象です。ただし、連生団信を選択できる商品もあります。
なお、夫婦の収入を合わせて審査を受ける方法には、ペアローンのほかに「収入合算」もあります。収入合算の仕組みや住宅ローン控除、団信の取扱いは商品によって異なります。
なぜ増えてきた?そして今見えてきた「曲がり角」
ペアローンが選ばれてきた背景には、共働き世帯の増加と住宅価格の上昇があります。ある調査では、ペアローン利用世帯の共働き率は8割を超える一方、単独ローン世帯でも共働き率は6割近くにのぼるという結果もあり、「共働きだから必ずペアローンを選ぶ」わけではないこともうかがえます。また、世帯年収1,000万円以上の割合は、単独ローン世帯よりペアローン世帯の方がやや高い傾向も見られます。
一方で、2026年に入ってからの複数の民間調査では、ペアローンの利用率が頭打ち、あるいは低下する動きも報告されています。背景として考えられるのは、住宅価格の高止まりに加え、金利上昇局面において「過大な債務を抱えることへの慎重姿勢」が広がってきていることです。これは、ペアローンが「危険」になったという話ではなく、借りられる額ではなく無理なく返せる額で判断するという視点が見直されてきている表れとも言えます。
参照記事:東証マネ部
ペアローンを利用すると、夫婦それぞれの収入をもとに審査を受けるため、単独ローンよりも借入可能額を増やせる場合があります。しかし、借入可能額が増えることと、無理なく返済できることは同じではありません。
住宅ローンを検討する際は、現在の収入だけでなく、出産・育児、時短勤務、転職、病気、介護、教育費、老後資金など、将来の家計の変化も考える必要があります。
変動金利を選ぶ場合には、金利が上昇したときの返済額についても試算しておくことが大切です。
あなたに合うのはどっち?
- ・単独ローンが向いている世帯:どちらか一方の収入で無理なく返済計画が立てられる/契約や諸費用をできるだけシンプルにしたい/将来の働き方に変化の可能性がある
- ・ペアローンが向いている世帯:夫婦とも安定した継続的な収入があり、将来も共働きを 継続する見込みが高い/希望のエリア・広さを叶えるために借入可能額を増やしたい/住宅ローン控除を夫婦それぞれで活用したい
ただし、次のような点も事前に確認しておきましょう。
・一方が休職、退職、時短勤務となった場合にも返済を続けられるか
・金利が上昇しても家計に余裕を持てるか
・教育費や老後資金を確保できるか
・夫婦それぞれの所有持分と資金負担が合っているか
・団信の保障範囲は十分か
・離婚や住み替えの際に、売却や借換えが難しくならないか
まとめ
住宅ローンの組み方に、すべての家庭に共通する「絶対の正解」はありません。
大切なのは、借りられる額ではなく、将来のライフイベントを踏まえても無理なく返せる額から逆算して考えることです。住宅ローンの選び方は、間取りや土地選びと同じくらい、暮らしの土台を決める大切な要素です。
ペアローンを検討する際には、借入可能額や住宅ローン控除だけでなく、諸費用、連帯保証、団信、住宅の持分、将来の収入減少なども含めて比較しましょう。
アトリエ・クラッセ 一級建築士事務所では、設計のご相談とあわせて、「夢ノート」を使いながらご希望の暮らしと無理のない資金計画を一緒に整理させていただいております。まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は、住宅ローンに関する一般的な情報を紹介するものです。利用条件、保証関係、団体信用生命保険、諸費用、住宅ローン控除の適用条件は、金融機関、商品、住宅の性能、入居時期、所得などによって異なります。具体的な内容は、金融機関、税務署、税理士等の専門家にご確認ください。